万葉色役術
占われる側の性癖

人間の性癖

人間は、自らの思考や行動についての迷いや不安を払拭するために、自らに対する某かの確証を得たい、自らの存在を誰かに認められたいという思いを抱えながら社会生活を営んでいます。
占いは、そのような心理状態に答える慰みとして、たとえその場限りであったとしても重宝され続けています。


バーナム効果

「あなたは才能の半分も活かしていませんね」と指摘されれば 〜 「当たってるぅ」と叫びたくなり・・・
「あなたは人生に少しばかり疲れていますね」と慰められれば 〜 「そうなんですよぉ」と頷きたくなります。
占う側が余程トンチンカンな台詞を吐かない限り、その資質を疑われる謂れはないのであり、言い当てごっこのような毎度お決まりの儀式など、単なる賑やかしの余興に過ぎません。
バートラム・フォア(アメリカの心理学者)の実験(1948)においても、星座占いと称し、被験者全員へ誰にでも当て嵌まりそうな共通の文面を配布したところ、内容が当たっているとの回答を全体の大凡86%から得られています。
この結果に見られるように、一般的な事柄を自分だけに当て嵌めてしまう心理的な効力をバーナム効果と呼びます。
そもそも、答えを知らないはずの当人が、自ら答え合わせを済ませてしまえば、当初の目的は達成されてしまうのです。
更に、この話には続きがあります。


確証バイアス

ひとたび、何かを思い込んでしまった人間は、当て嵌まる事象ばかりに注目し、当て嵌らない事象については、恣意的に受け流してしまうようになります。
そして、矛盾に蓋をしたまま〜ああやっぱりそうなんだ、そうに違いないと固定観念を積み重ねていくのです。
このように、反証を等閑にして、自分に優位な情報(先入観)だけを補強する偏見(思い込み)を確証バイアス(下記3例参照)と言います。

よく当たる宝くじ売り場

高額当選出ました!と張り紙をしたところで、当選確率と購入場所の因果関係が証明されたことは一度もなく、確率のばらつく範囲の中で、そんな謳い文句に煽られた購入者と、それに乗じた当選数が増えるだのことです。
世にも不思議な物語〜確率が偏ったまま固定されると、当たり難い売り場が次々と脱落し、そして、最後に勝ち残った店に全員が押し寄せると、よく当たる宝くじ売り場は消滅してしまいます。
任意の番号を選ぶ籤にしても、誰かが主張する当たりやすい法則などあるはずもなく、単純な論理の誤謬に誰も気付かないだけの間抜けな話です。

掛けようとしたら掛かってきた電話

アドレス帳で任意に指差した人から突然掛かってきたのならまだしも、大半は要件のある相手からであり、しかも、掛けようとして掛かってこない事例は何度も除外されているに違いありません。

ピンチの後にチャンスあり

そう断言するためには、ピンチとチャンスの定義を明確に設定し、ピンチの後のチャンスか否かの出現率を何度も比較しなければなりません。
もちろん、そのような現象が起こる心理的な要因を否定する訳ではありませんが、そもそもピンチやチャンスの繰り返しこそが競技の醍醐味であり、たまたま解説者の予想が当たったとしても、綿密な検証が披露された試しは一度たりともありません。
しかし、こんなことを幾ら指摘してみたところで、根拠の乏しいジンクスやトンデモ話は世間に根強く蔓延っており、その代表格として君臨する占いは、永久に廃れそうにありません。
これだけに留まらないもう一つの理由があるからです。
  1. 占いとは何か
  2. 占われる側の性癖
  3. 占う側の欺瞞
  4. 似て非なるもの
  5. GREETING
  6. GUIDANCE
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